
世界レベルのサイクリングシューズ、Burgdorfから発信 – suplestの挑戦
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ダニエル・バルマーとロバート・ゲーリックは、サイクリングに情熱を注ぐ二人の創業者だ。2007年にスイスのBurgdorfで「suplest」を立ち上げ、以来、優れたサイクリングシューズを開発し続けている。
Burgdorfから世界へ
二人は18年前、suplestを立ち上げ、プロからアマチュアまで幅広いサイクリストに向けてシューズを開発してきた。彼らのシューズは、すでに業界内で注目の的となっている。
suplestの本社は小さなオフィスだが、非常に効率よく運営されており、5人のチームでその拠点を支えている。ダニエルはビジネス全般を担当し、ロバートはデザインやマーケティングを主に担当している。二人に、サイクリングとサイクリングシューズへの情熱がどこから来ているのかを聞いた。
ダニエルはこう話す。「父は1970~80年代にアジアの大手スイス貿易会社で働いていました。私は12年間を台湾で過ごし、その頃からシューズ業界と接点を持っていました」。彼の父のネットワークは、後にアジアの生産拠点へのアクセスを可能にし、suplestの成長に大きく貢献することとなった。
数々の成功と挑戦
suplestの約20年の歴史は、数々の成功といくつかの困難に彩られている。2016年、スイス自転車連盟から依頼を受け、リオデジャネイロオリンピックに向けてチームパシュート用のエアロダイナミクスに優れたシューズを開発した。プレッシャーの中でダニエルとロバートはその挑戦を受け入れ、結果的にスイス代表チームはオリンピックディプロマを獲得。その後も、MTB世界チャンピオンのポリーヌ・フェラン=プレヴォが彼らのシューズでタイトルを勝ち取るなど、数多くのトップアスリートに支持されている。
だが、順風満帆な日々ばかりではなかった。2019年、ベトナムの長年のパートナーが突如として契約を打ち切り、suplestは新たな生産拠点を探す必要に迫られた。さらに、新型コロナウイルスの影響で一時的に生産拠点を失うなど、困難な時期が続いた。ダニエルはこう振り返る。「パンデミックの初期には、生産拠点がなくなるという痛手を受けました」。
現在、suplestは台湾の有名なメーカーと提携し、最新の技術と最高品質の素材を使用したシューズを生産している。
製品ラインとブランドの哲学
suplestのシューズは、すべてBurgdorfで開発されており、ロード用、オフロード用ともに高い性能を誇る。ダニエルによると、suplestの製品は簡単にカテゴライズできる。「Proシリーズは最高の素材を使用し、Performanceシリーズはコストパフォーマンスに優れ、Sportシリーズはエントリーレベル向けのモデルです」。
ブランドの価値観は「スイスらしさ(Swissness)」「プレミアム性(Premiumness)」「シンプルさ(Simplicity)」の3つに集約される。suplestという名前は、フランス語の「souplesse(効率的なペダリング)」と、英語の「supple(しなやか)」を組み合わせたもので、柔軟でしなやかな走行を象徴している。
未来への自信
これまで数々の挑戦を乗り越えてきた二人は、今後の課題にも冷静に対応している。ダニエルは「前の生産拠点から次の生産拠点へ移行ができた私たちにとって、新たな挑戦も恐れるものではない」と語る。